リハビリ現場で多くの人がつまずく“股関節の硬さ”の本当の正体とは
股関節の可動域が思うように改善しない、歩行が安定しない、腰痛がなかなか引かない──。
リハビリの現場では、股関節周囲の問題が背景にあるケースが非常に多く見られます。
しかし、可動域制限があっても、それが「筋の短縮」なのか「関節包の硬さ」なのか、あるいは「バイオメカニクスの崩れ」に起因するものなのかを正しく判断できなければ、治療の方向性は定まりません。
本書『股関節拘縮の評価と運動療法』は、まさにその“原因特定”から“治療戦略”までを体系的に学べる一冊。
股関節の基礎から臨床応用までを一歩ずつ確実に積み上げたい療法士にとって、強力な武器となる内容が凝縮されています。
書籍の基本情報
書名:股関節拘縮の評価と運動療法
著者:熊谷匡晃
監修者:林典雄、浅野昭裕
出版社:運動と医学の出版社
発行年月:2019年12月
判型:B5判
ページ数:281ページ
ISBN:978-4-904862-39-1
定価:6,380円(税込)
電子版:あり(同出版社の電子版あり)
書籍の概要と特徴
本書は、股関節の機能解剖を土台に、拘縮が生じるメカニズム、組織別の評価、疼痛の鑑別、異常歩行の分析、そして運動療法の実践まで、“評価から治療までの一連の思考プロセス”を徹底して学べる構成になっています。
特徴的なのは、「どの組織が拘縮しているのか?」を見極めるための視点が、豊富な図や臨床例とともに解説されている点です。
単なるストレッチ方法ではなく、なぜその制限が起きているのか、どのアプローチが適切かを理論的に判断できるようになるため、実践的で再現性の高い技術が身につきます。
目次と各章の内容
第1章
骨盤と股関節の機能解剖がまとめられており、関節包・靭帯・筋群の構造と役割を理解した上で「何が可動域制限を起こしやすいか」が明確になります。
第2章
股関節のバイオメカニクスが紹介され、立位・歩行・日常動作での力学的関係を踏まえて“どの動きが破綻しているのか”を読み取る力が養われます。
第3章
拘縮に由来する疼痛の評価として、組織別に痛みの原因を鑑別する方法が解説され、筋・関節包・関節唇など、問題点の切り分けが可能になります。
第4章
股関節拘縮に対する評価と治療が詳細に提示され、可動域測定だけでなく、軟部組織の硬さや代償動作の分析、モビライゼーションの方向など、臨床で迷いがちなポイントが明快に整理されています。
第5章
跛行など異常歩行の原因構造を分析し、歩行周期のどの局面で問題が出ているかを判断するアプローチが学べます。
第6章
股関節疾患と運動療法がまとめられており、変形性股関節症やFAIなど、実際に多い臨床ケースへの介入方法が例示され、評価から治療までの流れを臨床でそのまま再現できる構成となっています。
読んで得られること
本書を読むことで、股関節拘縮の“原因特定能力”が大幅に向上します。
- ROM制限の背後にある組織の鑑別
- 動作分析と股関節機能の関連づけ
- モビライゼーションと筋長調整の使い分け
- 歩行分析に基づいた治療戦略
- 股関節疾患ごとの運動療法の選択
これらを体系的に理解し、臨床で“なぜその治療を行うのか”を説明できるようになることで、治療効果の向上だけでなく、患者教育にも強く活かすことができます。
どんな人におすすめか
特におすすめなのは、股関節の評価に苦手意識を持つ理学療法士・作業療法士、そして運動療法を体系立てて学び直したい若手療法士です。
歩行がうまく改善できない、ROM改善が頭打ちになる、股関節と腰痛の関連が掴みにくい──
そうした悩みを抱える方にとって、本書は“臨床の見え方を変える一冊”となるでしょう。
また、整形外科領域を専門にしたい療法士にとっては、必ず手元に置いておきたい内容です。
実際に読んだ感想・臨床での活かし方
本書を通して最も強く感じたのは、「股関節拘縮は“角度”ではなく“構造”で評価するべき」という一貫したメッセージです。
ROM制限が同じ30度でも、原因が腸腰筋なのか関節包なのかによって、アプローチはまったく異なります。
本書にある評価手順をそのまま臨床で使うことで、原因特定までの時間が短縮され、治療の方向性が早い段階で明確になるという実感が得られました。
また、歩行分析の章は特に実践的で、患者の代償を股関節機能の観点から説明できるため、治療導入の説得力が向上しました。
まとめ
『股関節拘縮の評価と運動療法』は、股関節の基礎から臨床応用までを一冊で学べる“総合ガイド”です。
拘縮の原因となる組織の見極め、動作分析、運動療法の流れまでを体系的に整理してくれるため、臨床での迷いが明確に減ります。
股関節の治療戦略をレベルアップしたい療法士にとって、確実に得るものがある一冊といえるでしょう。


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