なぜこの本が必要か
リハビリの現場では、五十肩の患者さんが長期化してしまい、
「どの運動を選択すべきか」
「どの病期に何をやってはいけないのか」
など、迷いが生じる場面が少なくありません。
痛みが強い時期と、可動域制限が主体の時期では介入のポイントが大きく異なるにもかかわらず、「何となく肩を動かす運動」を続けてしまい、改善を実感させられないケースもあります。
本記事では、五十肩治療の評価と運動療法を体系的に学び、“必ず治せる”レベルに引き上げてくれる良書「五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる!」を、リハビリ専門職の視点から深掘りしていきます。
書籍の基本情報
書名:五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる!
著者:赤羽根良和(執筆)、編集:土屋元明 ほか
出版社:運動と医学の出版社
発行年月日(印刷版):2019年9月20日
判型/ページ数:B5変判、約172〜173ページ
ISBN:978-4-904862-37-7
電子版:あり(2024年9月2日発売)
書籍の概要と特徴
本書は、五十肩に対する評価から治療までを、“病態×病期”という軸でわかりやすく整理した実践型のリハビリテキストです。
解剖学・運動学に基づく理論だけでなく、臨床で再現しやすい評価手順や運動療法が豊富に掲載されており、若手から中堅セラピストまで幅広く役立ちます。
特に特徴的なのは以下の点です。
- 肩関節の機能解剖を臨床に直結できるよう解説
- 疼痛期・拘縮期・緩解期で行うべき運動療法を明確に提示
- 患者の状態に合わせた「やってはいけない」ポイントも強調
- 評価から治療まで筋道が一貫した構成
五十肩の治療は「根拠」と「再現性」が求められますが、本書ではそれらを高めるための視点が非常に丁寧に示されています。
目次と各章の内容
肩関節に関する基礎知識
肩関節複合体の構造や可動域制御に関する基礎を、臨床で使えるレベルに落とし込んで解説。
特に肩甲骨の運動制御と筋機能の関連について詳しく整理されており、評価の基準が明確になります。
五十肩に影響を与える筋の機能とその評価
棘上筋・肩甲下筋・大胸筋・広背筋など、五十肩の症状に関係する筋の働き方・硬さ・滑走の問題をどのように評価し、どこに介入すべきかを解説。
ROM制限の原因がどこにあるか見抜きやすくなる章です。
五十肩の病態について
炎症や拘縮がどのように進行するのか、どの病態がどの症状とリンクするのかを丁寧に説明。
特に「病期を誤ると介入が逆効果になる」という注意点が繰り返し強調されています。
疼痛期における治療の考え方と運動療法の実際
疼痛期では
「安静だけでは治らない」
「しかし刺激の入れすぎも禁物」
という難しいバランスがあります。
本書では、疼痛を悪化させずに肩関節の機能を保つための運動が具体的に紹介されており、臨床判断の精度が上がります。
拘縮期における治療の考え方と運動療法の実際
可動域制限が顕著な拘縮期では、肩甲胸郭関節・肩甲上腕関節のどこが制限の主体かを見極める評価手順が明確。
過度なストレッチが逆効果となるケースについても触れられ、適切な介入強度を学べます。
緩解期における治療の考え方と運動療法の実際
緩解期では筋力回復と運動パターンの再獲得が中心テーマ。
特に、適切な肩甲骨運動を誘導しながら挙上動作を再学習する方法は臨床ですぐに活かせる内容です。
読んで得られること
- 五十肩の病態を明確に分類し、病期に合わせた介入ができる
- 評価→治療の流れが整理され、治療方針の一貫性が高まる
- 肩関節リハの知識が深まり、説明力が向上する
- 再現性のある運動療法を実施できるようになる
特に「今日から臨床ですぐ使える」具体性が高く、経験年数に関係なく即戦力となる知識が得られます。
どんな人におすすめか
- 肩関節の治療が苦手な理学療法士・作業療法士
- 五十肩の患者を担当する初心者~中堅セラピスト
- 病態に合った運動療法を選択できるようになりたい人
- 評価の精度を高め、説明力を向上させたい人
- チーム内で肩の治療方針を共有したいリハビリ職
特に
「痛みが強い患者にどうアプローチすべきか迷ってしまう」
「拘縮期の伸張刺激が適切か不安」
という方には最適な内容です。
実際に読んだ感想・臨床での活かし方
本書は“再現性の高い肩関節リハ”という意味で非常に実用的です。
臨床では、五十肩の病期判断が曖昧な状態で治療が進んでしまうこともありますが、本書の評価手順に沿うことで介入の根拠が明確になります。
また、筋の滑走障害や肩甲骨運動の乱れを丁寧に評価し、それを運動療法で改善するプロセスが理解しやすく、動作改善のロジックが非常にクリアになります。
特に、拘縮期のストレッチ強度の注意点は、読後すぐに介入方法の見直しにつながる内容でした。
まとめ
「五十肩の評価と運動療法 あなたも必ず治せるようになる!」は、肩関節リハを担当するすべてのセラピストにとって“使える知識”が詰まった一冊です。
病期に応じた適切な治療選択、再現性のある運動療法、評価から治療までの一貫した流れが明確に整理されており、五十肩に対する臨床力を確実に高めてくれます。
五十肩の治療に悩む方、再現性の高い治療を行いたい方には特におすすめできる良書です。


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