呼吸リハビリの質を高めたい理学療法士・作業療法士へ 病気がみえる vol.4 呼吸器が“理解の土台”になる理由

医療書籍

呼吸リハビリテーションを支える「呼吸器理解」の重要性

呼吸リハビリテーションは、単に呼吸練習や運動療法を行うことではありません。

患者さんが

「なぜ息苦しいのか」

「なぜこの動作でSpO2が下がるのか」

を、病態・構造・機能の視点から理解したうえで介入することが求められます。

COPDや間質性肺疾患、肺炎、術後管理、さらには心不全や神経疾患に合併する呼吸障害など、呼吸器の知識はもはや一部の専門領域ではなく、すべてのリハビリ職種に必要な共通知識です。

そうした背景の中で、「呼吸器を体系的に理解できる一冊」として多くの医療者に支持されているのが病気がみえる vol.4 呼吸器です。


書籍の基本情報

書名:病気がみえる vol.4 呼吸器

編集:医療情報科学研究所

出版社:メディックメディア

発行年:2025年(第4版)

定価:4,510円(税込)

ISBN:978-4-89632-949-0

判型・ページ数:B5判・約400ページ

シリーズ名:病気がみえるシリーズ

電子版情報:mediLink対応電子版あり


書籍の概要と特徴

病気がみえる vol.4 呼吸器は、呼吸器疾患を「構造」「機能」「病態」「臨床像」の流れで理解できるように構成されたビジュアル重視の医学書です。

イラストや図表が非常に多く、文章だけではイメージしにくい肺の構造変化や換気・血流の関係を直感的に把握できます。

医学生向けとして知られるシリーズですが、その分、医学的な用語や概念が整理されており、理学療法士・作業療法士が病態理解を補強する目的で使うには非常に相性が良い一冊です。

第4版では最新の診断基準や治療方針も反映され、臨床現場との乖離が少ない点も特徴です。


目次と各章の内容

呼吸器の解剖と生理

本書の冒頭では、呼吸リハビリテーションを理解するうえで欠かせない呼吸器の解剖と生理が丁寧に整理されています。

気道、肺胞、胸郭、呼吸筋といった構造に加え、換気・血流・ガス交換の関係が豊富な図で解説されており、呼吸数やSpO2、動脈血ガスを「数値」ではなく「生理現象」として捉えられるようになります。

評価の根拠を持ちたいリハビリ職種にとって、最も重要な土台となる章です。

呼吸不全の病態

この章では、低酸素血症や高二酸化炭素血症がどのようなメカニズムで生じるのかが整理されています。

換気血流不均衡、拡散障害、肺胞低換気といった概念が図解されており、安静時は問題なくても運動時に呼吸困難が出現する理由が明確になります。

運動負荷設定や中止基準を考える際の理論的背景として、呼吸リハビリに直結する内容です。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDの章では、気道病変と肺実質病変、肺過膨張による呼吸力学の変化が詳しく解説されています。

呼気延長や努力性呼吸がなぜ起こるのか横隔膜の機能低下が運動耐容能にどう影響するのかが理解でき、呼吸練習や運動療法の意図が明確になります。

COPD患者への介入に自信を持ちたいセラピストには必読の章です。

間質性肺疾患

間質性肺疾患の章では、肺の伸展性低下による拘束性障害と拡散障害が中心に解説されています。

COPDとは異なる呼吸困難の特徴や、軽負荷でもSpO2が低下しやすい理由が病態から理解でき、疾患特性に応じたリスク管理の重要性を学べます。

同じ呼吸苦でも対応が違う」ことを実感できる章です。

肺炎

肺炎の章では、炎症による換気障害や分泌物貯留が呼吸状態に与える影響が整理されています。

急性期における体位管理、早期離床、呼吸介助の必要性を病態から説明できるようになり、急性期リハビリに関わる理学療法士・作業療法士にとって実践的な内容となっています。

肺癌・胸膜疾患・気胸

これらの章では、呼吸器疾患が全身状態や活動耐容能に及ぼす影響が解説されています。

疾患そのものだけでなく、手術や化学療法、放射線療法といった治療による呼吸機能への影響も整理されており、周術期リハビリがんリハビリとのつながりを意識しやすい構成です。

酸素療法と人工呼吸管理

酸素療法や人工呼吸管理の章では、各デバイスの基本的な考え方と役割がまとめられています。

詳細な操作方法ではなく、「なぜこの管理が必要なのか」を理解することに重点が置かれており、急性期病棟で働くリハビリ職種が安心して関われる知識を補ってくれます。


読んで得られること

この本を読むことで、呼吸器疾患を単なる診断名としてではなく、

「なぜその症状が出るのか」

「なぜこの動作がつらいのか」

という因果関係で理解できるようになります。

呼吸リハビリでよく用いる呼吸練習やポジショニング、運動療法が、どの病態にどう影響するのかを説明できるようになる点は大きなメリットです。

また、医師や看護師との情報共有の際にも、共通言語として病態を語れるようになり、チーム医療の質向上にもつながります。


どんな人におすすめか

呼吸リハビリテーションに苦手意識がある理学療法士・作業療法士、急性期や呼吸器内科病棟に配属されたばかりの新人セラピストに特におすすめです。

また、学生時代に呼吸器が曖昧なまま臨床に出たと感じている方や、患者さんへの説明力を高めたい中堅セラピストにも向いています。

専門書ほど難解ではなく、入門書よりも踏み込んだ内容を求める方にちょうど良いレベル感です。


実際に読んだ感想・臨床での活かし方

臨床で呼吸苦を訴える患者さんを前にしたとき、「とりあえずSpO2を見て判断する」状態から一歩進めたと感じました。

COPD患者の呼気延長や努力呼吸を見た際に、気道抵抗や肺過膨張のイメージが自然と浮かぶようになり、声かけや運動強度設定が変わりました。

また、カンファレンスで病態を説明する際にも、本書の図を思い出しながら整理できるため、自分の理解不足に気づく機会にもなっています。

単に読むだけでなく、臨床で疑問が出たときに立ち返る「辞書的存在」として活用できる点が非常に価値ある一冊です。


まとめ

病気がみえる vol.4 呼吸器は、呼吸リハビリテーションの質を高めるための「土台となる病態理解」を与えてくれる一冊です。

呼吸器を深く知ることで、評価・介入・説明のすべてに自信が持てるようになります。

呼吸に関わるすべての理学療法士・作業療法士にとって、手元に置いておきたい基本書として強くおすすめできます。

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