脳・神経リハビリの基礎を「見える化」する一冊
脳卒中やパーキンソン病など、脳・神経系疾患を対象とするリハビリでは、病態の理解が介入の質を左右します。
『病気がみえる vol.7 脳・神経』は、そんな“病気の仕組みを臨床で活かしたい”療法士にとって欠かせない参考書です。
医学的知識を図やイラストで「視覚的に」整理でき、難解な神経症候もスッと頭に入ります。
リハビリにどう必要か? ― 病態理解からアプローチ選択へ
脳・神経リハビリの臨床では、「なぜこの動きができないのか」「どの部位の障害が影響しているのか」を見極める力が求められます。
この書籍では、解剖・生理・病態の流れが体系的に整理されており、たとえば次のような実践的学びにつながります。
- 脳血管障害の局在と麻痺パターンの関連性を図で理解できる
- 神経伝導や反射の異常を症候から推測できる
- 運動・感覚・高次脳機能障害の評価と関連を紐づけて整理できる
結果として、評価→仮説→介入のプロセスが明確になり、根拠あるリハビリ提案が可能になります。
まさに「リハビリ臨床の思考の地図」として役立つ一冊です。
構成と内容概要
本書は、脳と神経の構造から疾患までを段階的に学べるよう構成されています。
前半では神経解剖・神経生理の基礎を丁寧に解説し、脳の各部位の働きや神経伝導の仕組みを図で理解できます。
中盤では主要な神経疾患(脳血管障害、てんかん、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)を症状・検査・治療の流れに沿って整理。
後半では高次脳機能障害や末梢神経疾患など、臨床でよく遭遇するテーマを臨床症状との関連でまとめています。
章ごとに豊富なイラストと要点表が配置されており、疾患の「見えにくい部分」を視覚的に理解できるのが大きな特徴です。
どんな人が読むべきか? ― 学び直しにも最適
『病気がみえる vol.7 脳・神経』は、医学生・看護師だけでなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとっても必読の内容です。
特におすすめなのは次のような方です:
- 新人療法士:脳・神経疾患の基礎を体系的に理解したい人
- 中堅~ベテラン療法士:臨床推論の裏付けを再確認したい人
- 教育・指導に携わる方:学生や後輩に「根拠をもって説明」したい人
つまり、学びのステージに合わせて活用できる“生涯学習書”です。
新人療法士にとってのメリット ― 臨床に出る前に「つながる知識」を
新人期には、学校で学んだ知識と目の前の患者像が一致しにくいものです。
この書籍を活用すれば、脳や神経の構造が「動作の背景」として理解でき、評価シート上の症状が生きた情報に変わります。
また、豊富なイラストと疾患ごとの整理により、臨床現場での「なぜ?」を自分で解決する力が身につきます。
ベテラン療法士にとっての価値 ― 原点回帰と再構築
長年臨床に携わっている療法士ほど、経験則に頼ってしまう傾向があります。
『病気がみえる vol.7 脳・神経』は、その経験に最新の医学的根拠を再接続させるきっかけになります。
疾患理解を再構築することで、既存のリハビリ手法をより個別化・科学的に再設計できるのです。
教育者・管理職として若手を指導する立場の方にも、自信をもって解説できる理論の支えになります。
臨床応用の具体例
- 脳卒中後片麻痺:障害部位の推定→残存機能の抽出→介入戦略の立案
- パーキンソン病:基底核の機能理解→姿勢反応や歩行改善アプローチの検討
- 末梢神経障害:神経支配領域のマッピング→運動再教育の方向性づけ
このように、「病態を知る」ことが「動作を変える」第一歩となります。
まとめ ― “見える”ことで深まるリハビリの理解
『病気がみえる vol.7 脳・神経』は、単なる病気解説書ではなく、臨床推論の思考を整理する道具です。
新人療法士には学びの地図として、ベテランには理論の再確認として。
どの段階でも“学びの軸”になる、まさにリハビリに携わる全療法士におすすめの一冊です。


コメント