子どもの足、ちゃんと見ていますか?
「姿勢が悪い」「よく転ぶ」「走るのが苦手」——
そんな子どもの悩みを、つい“運動神経”の問題だと思っていませんか?
実はその多くが、“足の発達”に関係していることをご存じでしょうか。
『子どもの成長は足で決まる!』は、10,000人以上の子どもの足を測定してきた専門家が、成長と足の密接な関係を明らかにした一冊です。
この記事では、理学療法士の視点からこの本の要点と、家庭でできる足のケアのヒントをわかりやすく解説します。
子どもの足は“自然には”育たない
生まれたばかりの子どもの足は、やわらかく未発達
本来、裸足で地面の感覚を感じながら成長するはずが、現代では舗装された道路・靴文化・屋内生活が当たり前。
その結果、「足の退化」が進み、「偏平足」「外反母趾」「浮き指」などのトラブルが増えています。
これらは単に足の問題ではなく、姿勢・体幹バランス・集中力の低下など、成長全体に影響を及ぼすことがわかっています。
“足の退化”が引き起こす体と心の変化
著者によると、足の発達不足が続くと以下のような影響が現れるといいます。
- 猫背や姿勢の崩れ
- 運動嫌い・転倒の多さ
- 集中力の低下
- 疲れやすさ
- 自信の欠如
つまり、足は「体の土台」であると同時に、「心の安定」にもつながる大切な要素。
理学療法士としても、足部機能の発達が運動発達全体を支えることは臨床で日々感じるところです。
親ができる“足育て”のコツ
では、足を育てるために家庭でできることは何でしょうか。
本書では、次のような実践的アドバイスが紹介されています。
- 裸足の時間を増やす
足の裏の感覚刺激が、神経と筋の発達を促します。 - サイズの合った靴を選ぶ
大きすぎる・小さすぎる靴は、足の変形や筋力低下の原因に。 - バランス遊びを取り入れる
不安定な姿勢での遊び(平均台、石跳びなど)は、自然な筋トレになります。 - 姿勢と足の使い方を観察する
「片足立ちができるか」「つま先立ちができるか」などをチェックしてみましょう。
理学療法士が臨床で行う“足育”は、特別な運動ではなく、「日常の中で足を使う工夫」が基本です。
親の少しの意識で、子どもの体は大きく変わります。
「体の育ち」にも目を向ける子育てを
食事・学習・お金——
子育てで努力すべきことは多いですが、「どんな体に育ってほしいか」を意識する機会は案外少ないものです。
足は、まさに“未来への投資”。
健康な足で育つことが、運動能力だけでなく、姿勢・集中力・自己肯定感にもつながります。
理学療法士・作業療法士として、足から成長を支える視点を家庭にも広げていくことは、今後ますます重要になるでしょう。
本書『子どもの成長は足で決まる!』の魅力
本書の魅力は、単なる理論ではなく、10,000人以上の実測データに基づいたリアルな知見。
第6章の「今からでも遅くない!子どもの足を守る方法」では、家庭で実践できる具体策が多数紹介されています。
また、足測定を受けた家族の声(第7章)からは、“気づきのきっかけ”となる生のエピソードも多く掲載。
育児中の方だけでなく、保育士・療育士・リハ職にもおすすめできる一冊です。
まとめ:足を見れば、子どもの未来が見える
足は、子どもの成長を支える「見えない土台」。
放置すれば姿勢や運動機能の低下につながりますが、早めの気づきとケアで、確実に良い方向へ育てることができます。
本書『子どもの成長は足で決まる!』は、理学療法士・作業療法士として家庭支援に関わる方にも、ぜひ手に取ってほしい一冊です。


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