腰痛の“性格”を見極める時代へ。自分に合ったセルフマネジメントを始めよう

こんな悩みありませんか?

若い人から高齢者まで、多くの方を悩ませる腰痛。

病院に行ってレントゲンを撮っても「特に異常なし」と言われ、どう向き合えばいいのかわからない…。

そんな経験、臨床の中でもよく見かけますよね。

原因が特定できないと不安になり、ネット検索を彷徨い、結局何をすれば良いのか迷ってしまう。

そんな時に、自分の腰痛の“性格”を知るためのヒントを与えてくれるのが、この本です。


書籍の基本情報

書名:もう人任せにしない!腰痛の性格を見つけて治す!セルフマネジメント術!〜腰痛との向き合い方は、自分に合ったものを選ぶ時代へ〜

著者:成田崇矢

出版社:運動と医学の出版社

発行:2025年6月

定価:1,760円(税込)

判型・頁数:A5判/108ページ

ISBN:978-4904862766

電子版:Kindle版あり


書籍の概要と特徴

本書は、腰痛を「4つの性格」に分類し、それぞれに合ったセルフマネジメントを提案する非常に実践的な内容です。

特徴的なのは、

  • 筋・筋膜
  • 椎間関節
  • 椎間板
  • 仙腸関節

という“発生源の個性”を軸にしている点。

一般的な「腰痛にはこれをやればいい」という単一アプローチではなく、タイプごとに原因のパターン・動作時の特徴・痛みが出る環境を丁寧に整理し、患者自身が“自分の腰痛の性格を理解する”ことを目的としています。

また、臨床での経験に基づいたエクササイズや生活習慣へのアドバイスが豊富で、「今日からすぐできる」実用性の高さも魅力です。


目次と各章の内容

本書は4つの腰痛タイプを軸に展開されており、各章に「テーマ」「発生メカニズム」「特徴的な動きの癖」「避けたい動き」「推奨されるセルフケア」がまとめられています。

単なる理論ではなく、患者への説明にも使いやすい実例が多い点が印象的です。

筋・筋膜性タイプ

テーマは「過負荷・過緊張による腰痛」。

姿勢・偏った生活習慣・ストレスなどによる筋緊張が原因になりやすく、痛みの波が出たり引いたりするのが特徴。

目的は、筋の滑走性を改善し、過緊張を和らげること。著者は「まず緊張のパターンに気づくこと」が重要だと解説します。

臨床のポイントとして、股関節の柔軟性や胸椎の可動性の低下も併存しやすく、部位を限定しないアプローチが必要と提示されています。

椎間関節性タイプ

「伸展や反り姿勢で痛みが増す」タイプとして説明されます。

繰り返す反り腰姿勢や外力で関節後方にストレスが集中し、易疲労性や朝のこわばりが特徴。目的は適切な荷重配分を取り戻すこと。

臨床では、腹部・殿筋群の機能改善が鍵となり、過剰な反り代償を抑えた立位・歩行指導が重要と述べられています。

椎間板性タイプ

「屈曲方向で悪化する」腰痛にフォーカス。

座位姿勢が長い方や若年スポーツ層に多い印象で、段階的な負荷管理が本章の重要テーマです。

目的は、椎間板に過度な圧力がかからない姿勢・動作を習得すること。

著者は“まず痛みが落ち着く姿勢を見つける”ことを最優先とし、それから段階的な負荷へ移行する戦略を提示します。

仙腸関節タイプ

「動きの連動性が乱れた結果として痛みが発生する」タイプ。

片脚荷重の癖や産後の骨盤不安定性などが影響しやすいと説明されています。

目的は、仙腸関節まわりの安定性向上と左右差の調整。

臨床的には、殿筋やハムストリングスの使い方を整え、腰椎・骨盤・股関節の連動を回復させるアプローチが有効とされています。


読んで得られること

本書の最大の価値は、「患者自身が自分の腰痛を理解できる」点にあります。

これは、再発予防の観点でも非常に大きいメリットです。

さらに、タイプごとの説明が簡潔かつわかりやすいため、臨床での説明資料としても活用しやすく、腰痛教育(Pain Education)の実践にも役立ちます。

エクササイズは難易度の段階分けがあり、患者の自己効力感を高める設計になっています。


どんな人におすすめか

  • 腰痛患者への説明をもっとわかりやすくしたい理学療法士・作業療法士
  • 再発予防まで見据えた指導を行いたい臨床家
  • 痛みのメカニズム理解を深めたい学生
  • セルフケアの指導内容に幅を持たせたい方
  • “なんとなく良くならない腰痛”に悩む一般読者

腰痛は千差万別ですが、本書の「性格分類」は患者教育の切り口として非常に明確で、導入がスムーズです。


実際に読んだ感想・臨床での活かし方

本書を読んで特に印象に残ったのは、「腰痛は患者の生活習慣の蓄積であり、性格がある」という視点です。

これにより、単に筋骨格の問題を追うのではなく、生活の背景や動作パターンまで含めた包括的な理解が可能になります。

臨床では、タイプごとの“やってはいけない動き”が非常に役立ちます。

患者は「どの動きで痛みが出るか」を言語化できないことも多く、タイプ分類を通して痛みの理由を説明することで安心感が生まれます。

エクササイズも実践しやすく、時間が取れない患者にも導入しやすい点は大きなメリットです。


まとめ

腰痛へのアプローチは、いま“個別化”が求められる時代です。

本書は、自分の腰痛の性格を知り、今日から実践できるセルフマネジメントへ導いてくれる一冊

臨床家にとっては説明の引き出しを増やし、患者にとっては主体的な改善への第一歩になります。

腰痛に悩むすべての方に、ぜひ一度手に取ってほしい内容です。

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