肩関節痛の評価が難しいと感じたことはありませんか?
リハビリの現場で肩関節痛に向き合うと、
「原因がなかなか絞れない」
「治療を積み重ねても痛みが残る」
といった悩みに直面することが少なくありません。
肩は複合的な関節構造を持ち、筋・腱・神経・関節包など、多くの組織が痛みに関与します。
そのため、評価の段階でつまずくと、治療方針も曖昧になってしまいがちです。
そうした現場のリアルな悩みに対して、明確な評価軸と治療戦略を示してくれるのが、本書「肩関節の極意 痛み編」です。
「肩が痛い」その一言の裏に潜む多様な病態を、どのように見極め、どうアプローチするか。
肩関節痛に携わるすべてのセラピストに、新たな視点を与えてくれる一冊です。
書籍の基本情報
著者:千葉 慎一
出版社:運動と医学の出版社
発行年月日:2024年4月24日
判型・頁数:B5変型/約182頁
定価:税込 ¥7,150
ISBN:978-4-904862-65-0
シリーズ名:『極意』シリーズ(第1弾)
電子版情報:電子版あり(医書JPで配信)
書籍の概要と特徴
本書は、肩関節痛の“原因の特定”に重点を置き、4つの痛みやすい部位(肩甲上腕関節、第2肩関節、結節間溝、肩鎖関節)を軸に、病態理解・評価・治療を整理しています。
また、見逃されやすい「神経由来の肩の痛み」も独立章として深く掘り下げており、鑑別に悩む臨床家にとって大きな助けとなります。
さらに、21本の手技動画がQRコードで視聴でき、文章だけでは伝わりにくいポイントも視覚的に学べる点が特徴です。
目次と各章の内容
第1章 肩関節の運動機能
肩関節複合体の構造を整理し、「肩を一つの関節として見ない」重要性を提示しています。
肩甲上腕関節・肩甲胸郭関節・胸鎖関節・肩鎖関節、さらには胸郭・骨盤・下肢まで含めた運動連鎖を解説し、痛みの背景を多角的に理解できる基盤を作ります。
第2章 肩関節の評価
問診、病態評価、機能評価に基づき、痛みの発生源を推定する具体的なプロセスを提示。
各関節に対するストレステストの使いどころが明確で、臨床での“評価の軸”が作りやすい構成です。
第3章 肩関節の治療
急性期・慢性期それぞれに対する戦略の立て方から、前述の4つの部位ごとの治療手技を解説。
痛みの種類(関節性・筋性・腱性)をどう捉え、どのように治療に落とし込むかがわかりやすく整理されています。
また、日常生活指導のポイントも豊富で、実際の生活場面に即した指導内容が学べます。
第4章 神経由来の痛み
肩甲上神経、腋窩神経、腕神経叢など、肩関節痛に関連する神経を扱い、神経系の関与を疑う所見を詳しく紹介しています。
複雑な症例を担当するセラピストにとって、鑑別精度を高めるための重要な章です。
読んで得られること
- 肩関節痛を4つの“痛みやすい部位”から整理できる
- 評価から治療までの筋道がはっきりし、臨床で迷いにくくなる
- 神経由来の痛みを見落とさず、鑑別の幅が広がる
- 技術動画で手技の理解が深まり、実践への移行がスムーズ
- 動作指導・生活指導まで網羅でき、再発予防にもつながる
どんな人におすすめか
- 肩関節痛の評価に自信を持ちたい理学療法士・作業療法士
- 肩の痛みの原因が「いつも曖昧に終わってしまう」と感じる方
- 神経介在の肩痛をもっと深く理解したい中堅セラピスト
- 治療技術を体系的に整理したい若手〜中堅の臨床家
実際に読んだ感想・臨床での活かし方
本書を読むことで、肩関節痛の捉え方が“点”から“面”へと変わりました。
特に「第2肩関節」の視点は、これまでの評価に抜け落ちていた部分で、導入することで痛みの再現性が高まり、治療の方向性が明確になりました。
また、肩鎖関節ストレステストを評価に組み込むようになり、肩外側の痛みをより精度高く鑑別できるようになったことも大きな収穫です。
QRコード動画の活用によって、翌日の臨床にすぐ反映できた点も大いに助けられました。
まとめ
「肩関節の極意 痛み編」は、肩の痛みを体系的に理解し、確かな評価と治療につなげたいセラピストにとって、非常に価値の高い一冊です。
痛みの発生源を多角的に捉え、特に難渋しやすい神経性の肩痛まで網羅しているため、臨床で直面する“迷い”を減らす助けになります。
肩関節痛アプローチの精度を高めたい方は、ぜひ一度手に取ってみてください。

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