リハビリの現場から感じる課題
歩行練習を行っているのに「見た目があまり変わらない」「歩行速度は上がったが安定性が改善しない」「結局どこに介入すべきか迷う」と感じた経験はないでしょうか。
理学療法士・作業療法士にとって歩行は最も頻繁に扱う動作でありながら、その評価と介入は経験則に頼りやすい分野でもあります。
そんな臨床の悩みに対して、「歩行を構造的に捉え直す視点」を与えてくれる一冊が、園部式歩行改善メソッドです。
書籍の基本情報
書籍名:園部式歩行改善メソッド
著者:園部 俊晴
出版社:運動と医学の出版社
発行年:2023年
定価:1,650円(税込)
ISBN:978-4-904862-58-2
ページ数:152ページ
シリーズ名:―
電子版:あり(2024年9月より配信)
書籍の概要と特徴
本書は、著者が長年の臨床経験から体系化した「園部式歩行改善メソッド」を、評価から介入まで一貫して学べる実践書です。
この本は、「歩き方を変えることで、体の不調や将来の不安を減らす」ことを目的とした一冊です。
著者は、長年リハビリの現場で多くの人の歩行を見てきた専門家。
本書の特徴は、「筋トレをたくさんしましょう」といった内容ではなく、
- 体の使い方
- 重心の移動
- 無理のない動き
といった、“歩くときの考え方”をとてもわかりやすく説明している点です。
難しい専門知識がなくても、「なるほど、だから疲れるのか」と納得しながら読み進められます。
目次と各章の内容
序章
本書全体の考え方として、歩行改善において「筋力強化だけでは不十分である理由」が示されます。
評価と介入をつなぐ思考プロセスが明確にされ、臨床で迷わないための軸が提示されます。
第1章 歩行を正しく理解する
正常歩行を単なる理想像としてではなく、臨床で使える基準として再整理しています。
歩行周期や各相の役割を「なぜ重要なのか」という視点で解説している点が特徴です。
第2章 歩行障害の見方と考え方
患者の歩行を観察する際に、どこを見るべきか、何を優先して評価すべきかが具体的に示されます。
部分的な異常に引きずられず、全体像から原因を推論する力が養われます。
第3章 園部式歩行評価の実際
著者独自の評価フレームが紹介され、視診・触診・動作分析をどのように組み合わせるかが整理されています。
再現性の高い評価手順は臨床教育にも有用です。
第4章 歩行改善のための介入戦略
評価結果をどのように介入へ落とし込むかを具体的に解説。
エクササイズ選択の理由が明確で、「なぜこの練習を行うのか」が理解しやすい構成です。
第5章 症例で学ぶ歩行改善
実際の症例を通して、評価から介入、結果までの流れが示されます。
理論が臨床でどのように使われるかをイメージしやすく、即実践につながります。
読んで得られること
- 歩行を全身運動として捉える視点
- 評価から介入まで一貫した思考プロセス
- 「とりあえず筋トレ」から脱却するための判断基準
- 歩行分析に対する自信と再現性
- 後輩指導や教育に使える整理された理論
どんな人におすすめか
- 歩行練習がマンネリ化している理学療法士
- 歩行分析に苦手意識がある若手セラピスト
- 評価と介入のつながりを明確にしたい中堅層
- 訪問・外来で短時間に効果的な介入が求められる方
- 歩行を専門的に学び直したい作業療法士
- 歩くとすぐ疲れると感じている方
- つまずきやすさ、ふらつきが気になる方
- 将来も自分の足で歩き続けたい方
- 運動が苦手でも体を大切にしたい方
- 専門的すぎる健康本が苦手な方
実際に読んだ感想・臨床での活かし方
この本を読むと、「歩く」という動作をこれまでいかに無意識で行っていたかに気づかされます。
少し意識を変えるだけで、「あ、楽に歩ける」「疲れにくい」と感じられる場面が増えていきます。
特別な道具や激しい運動は不要なので、今日からすぐに実践できる点も魅力です。
散歩や買い物など、日常の動きそのものが“体を整える時間”に変わっていきます。
まとめ
園部式歩行改善メソッドは、歩行を「感覚」ではなく「構造」で理解したいセラピストにとって非常に価値の高い一冊です。
また、「健康のために何か始めたいけれど、何をすればいいかわからない」という人にぴったりの一冊です。
歩き方を知ることは、体を知ること。
歩行に悩んだとき、評価や介入に迷ったときに立ち返る“軸”を与えてくれる書籍として、臨床の本棚に加える価値は十分にあります。
これからも自分の足で快適に歩き続けたい方に、ぜひ一度読んでほしい内容ですし、歩行練習の質を一段階引き上げたい方に、ぜひ手に取ってほしい実践書です。

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