肩関節拘縮を「構造」から理解する ― 『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』で学ぶ臨床の再現性

「とりあえずマッサージ」「とりあえず筋トレ」から抜け出すために

肩関節のリハビリで、つい「とりあえずマッサージ」「とりあえず筋トレ」で対応していませんか?

一見シンプルに見える肩関節拘縮も、その背後には複雑な関節構造・筋連鎖・神経制御が絡み合っています。

本書『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』は、そんな“曖昧な肩の評価”を明確化し、臨床における思考の整理と再現性のあるアプローチを可能にしてくれる一冊です。

リニューアルにより、全イラスト・写真を刷新し、さらに著者による実技映像59本をQRコードで視聴可能。

紙と動画のハイブリッド学習で、動きを「目で見て学べる」構成になっています。


書籍の特徴と改訂ポイント

  • 図解・写真を全面リニューアル:肩関節の複雑な構造を直感的に理解できる
  • 実技動画59本付き:QRコードで著者の解説映像を視聴可能
  • 臨床視点の評価と運動療法を体系化:単なるROM評価ではなく、原因別に整理
  • 基礎から応用まで一冊で完結:学生〜ベテランまで幅広く対応

目次からみる内容構成と学びの流れ

第1章 肩関節の基礎知識

肩関節複合体や肩甲上腕関節の安定化機構、肩甲胸郭関節の運動学など、基礎を徹底的に整理。

「肩関節挙上運動における上腕骨頭の偏位」など、臨床で見落としがちな動きのメカニズムを理解します。

第2章 肩関節拘縮の基本評価

問診・視診・触診といった基本評価を体系的に解説。

単なる「ROM測定」ではなく、「どの組織が動きを妨げているのか」を分析する評価思考を学びます。

第3章 肩関節拘縮に対する基本的な考え方

拘縮を引き起こすメカニズムを“疼痛”や“筋力低下”との関係から考察。

「安定した関節運動とは何か」という理学療法の根幹に迫ります。

第4章 筋攣縮と筋短縮との相違

筋性拘縮を理解する上で重要な「攣縮」と「短縮」の違いを生理学的に整理。

評価法とそれぞれに対応する運動療法が具体的に提示されています。

第5章 筋が原因となる拘縮

肩関節構成筋(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋など)の機能解剖を踏まえ、筋由来の拘縮をどう見極め、どう動かすかを詳細に解説。

第6章 肩関節上方支持組織の癒着が原因となる拘縮

上方支持組織(烏口肩峰アーチなど)の癒着がもたらす可動域制限を取り上げ、臨床所見から癒着部位を仮説立案する評価の流れを解説。

第7章 関節包靭帯が原因となる拘縮

肩関節包・靭帯構造を解剖学的視点から紐解き、拘縮発生のメカニズムと治療戦略を提示。

「どの方向で制限が出ているか」を根拠をもって説明できるようになります。

第8章 肩甲帯機能不全と肩関節可動域(拘縮)との関連

肩甲胸郭関節や肩甲帯周囲筋の働きに注目。

肩甲帯の動きの悪さが肩関節拘縮を助長するケースについて、評価と介入を紹介。


学びを深める3つの強み

① 機能解剖に基づく“原因別評価”

肩の動きを「見た目」で判断せず、どの組織がどの方向で制限しているかを構造的に分析。

そのための触診・動作分析の具体例が多数紹介されています。

② 動画で“手技の質感”を体感できる

書籍内のQRコードから、赤羽根良和先生による実技動画59本を視聴可能。

介入時の手のポジション・誘導方向・圧のかけ方など、動作の“質”を視覚的に習得できます。

③ 図解とレイアウトの刷新で理解がスムーズ

解剖図・運動方向図・触診写真などが再設計され、臨床現場で即使えるレベルの視認性に。

一つ一つの構造を「見て・触って・動かす」学びをサポートします。


どんな人におすすめ?

対象こんな悩みに応える内容
理学療法士・作業療法士(臨床3年目〜中堅)肩関節拘縮の原因を構造的に説明できるようになりたい
スポーツトレーナー肩の可動域制限や疼痛に対する安全な運動介入を学びたい
医師(整形外科領域)機能解剖に基づいたリハビリ指導を理解したい
学生・新人セラピスト肩の評価・触診・運動療法を基礎から学び直したい
教育者・実習指導者学生に“肩の動きを構造的に説明する”教材として使いたい

本書は、単に知識を増やすだけでなく、評価→仮説→治療のプロセスを整理できる臨床思考書です。

症例検討会や実技練習の教材としても最適です。


まとめ:肩の評価が「苦手」から「得意」へ

肩関節拘縮のアプローチは、評価がすべての出発点です。

『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』は、その“評価力”を臨床レベルで高めてくれる一冊。

動画で動きを学び、図で構造を理解し、現場で再現する――

このサイクルを通して、あなたの肩リハビリは確実に変わります。

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