リハビリの現場から感じる課題
そろそろ臨床実習の季節ですね。
実習指導を担当する理学療法士にとっては、学生を受け入れる準備を進める時期でもあります。
そして同時に、新人理学療法士が臨床の現場に立つ時期でもあります。
特に脳血管疾患のリハビリテーションは、
「何を評価すればいいのか分からない」
「患者さんの動きのどこを見ればいいのか」
「なぜその治療をするのか説明できない」
といった悩みを抱えやすい分野でもあります。
神経系の理学療法では、単純な筋力や可動域だけでなく
姿勢制御
運動制御
感覚
高次脳機能
日常生活動作
など、多くの要素を統合して考える必要があります。
そんな神経リハビリの「臨床思考」を学べる本が
「臨床実習生・若手PTのための理学療法実践ナビ 脳血管疾患編」です。
書籍の基本情報
書籍名
臨床実習生・若手PTのための理学療法実践ナビ 脳血管疾患編
編集
理学療法実践ナビ編集委員会
出版社
羊土社
発行年
2021年
定価
4,400円(税込)
ISBN
9784758102609
判型
B5判
ページ数
約240ページ
電子版
あり(電子書籍版配信あり)
シリーズ
臨床実習生・若手PTのための理学療法実践ナビ
書籍の概要と特徴
この本の最大の特徴は
「神経リハビリの臨床思考を具体的に学べること」です。
脳血管疾患の理学療法では、
- どこに問題があるのか
- なぜその動きが出ないのか
- どのアプローチが適切なのか
を考えることが非常に重要になります。
しかし学生や新人PTにとっては
評価項目が多すぎる
何を優先すればいいか分からない
動作分析が難しい
という壁にぶつかることが多い分野でもあります。
本書では
評価
↓
問題点抽出
↓
理学療法プログラム
という臨床の基本的な流れを、症例を通して理解できる構成になっています。
神経系リハビリの考え方を、臨床に近い形で学べる点が大きな魅力です。
目次と各章の内容
序章 脳血管疾患の理学療法と臨床思考
脳血管疾患に対する理学療法の基本的な考え方が整理されています。
評価から治療までの思考プロセスや、神経リハビリ特有の評価視点が解説されており、学生や新人PTが最初に理解しておくべき基礎がまとめられています。
第1章 脳血管疾患の評価
脳卒中患者に対する評価の基本が整理されています。
運動機能、感覚、筋緊張、姿勢制御など、多面的な評価の方法が紹介され、評価結果をどのように解釈するのかという臨床思考のプロセスも解説されています。
第2章 姿勢制御と体幹機能
脳卒中患者における姿勢制御の障害や体幹機能の重要性について解説されています。
座位や立位の安定性をどのように評価し、どのようにアプローチするのかが具体的に示されています。
第3章 歩行障害
脳卒中後の歩行障害に対する評価と治療の考え方がまとめられています。
歩行周期の分析や代償動作の理解、歩行能力の改善を目指したアプローチについて解説されています。
第4章 上肢機能障害
麻痺側上肢の機能障害に対する評価と治療のポイントが解説されています。
肩関節の管理やリーチ動作の改善、日常生活動作への応用など、臨床で重要なポイントが整理されています。
第5章 日常生活動作(ADL)
脳卒中患者の生活機能を改善するためのADL評価と理学療法の進め方が紹介されています。
ベッド上動作、起居動作、移乗動作などをどのように分析し、改善につなげるかが示されています。
第6章 症例から学ぶ理学療法
実際の症例を通して、評価から問題点抽出、治療プログラムの立案までの流れが解説されています。
臨床思考を具体的に学ぶことができる実践的な内容です。
コラム・臨床のポイント
各章には、臨床で役立つ評価のコツや観察ポイントがコラム形式で紹介されています。
学生や新人PTが見落としやすいポイントを補う内容になっています。
読んで得られること
この本を読むことで、脳血管疾患の理学療法に必要な
- 神経リハビリの評価視点
- 姿勢や動作の観察ポイント
- 臨床推論の考え方
- 症例整理の方法
を体系的に学ぶことができます。
特に「なぜこの評価をするのか」「評価結果から何を考えるのか」といった臨床思考を学べる点が大きなポイントです。
どんな人におすすめか
この本は次のような人におすすめです。
- これから臨床実習に行く理学療法学生
- 神経リハビリに苦手意識がある学生
- 臨床1〜3年目の若手理学療法士
- 脳卒中の評価の考え方を整理したい人
- 実習指導を担当する理学療法士
特に「神経系の評価が難しい」と感じている学生には、とても参考になる一冊です。
実際に読んだ感想・臨床での活かし方
神経リハビリの本は専門的なものが多く、学生や新人PTにとっては難しく感じることも少なくありません。
しかしこの本は
臨床思考
評価の流れ
動作の見方
が非常に整理されているため、臨床実習の前後に読む本として非常に使いやすい印象があります。
実習中は
患者さんの動きが理解できない
評価結果をどうまとめればいいか分からない
という場面が多くあります。
そんな時にこの本を読み返すと、
「この視点で見ればいいのか」
「この評価が必要だったのか」
と気づくことが多いと思います。
神経リハビリの臨床思考を学ぶ“入門書”として、とても優れた一冊だと感じました。
まとめ
脳血管疾患の理学療法は、評価や臨床推論が非常に重要になる分野です。
しかし学生や新人PTにとっては
- 評価項目が多い
- 動作分析が難しい
- 臨床思考が分からない
といった壁にぶつかりやすい領域でもあります。
臨床実習生・若手PTのための理学療法実践ナビ 脳血管疾患編は、
- 神経リハビリの評価
- 動作分析
- 臨床推論
を体系的に学べる一冊です。
これから臨床実習に向かう学生や、新人理学療法士にとって、神経リハビリの理解を深める大きな助けになる本だと思います。
実習前の予習として、そして新人PTの臨床思考を育てる一冊としておすすめできる書籍です。

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