リハビリ書籍

膝関節拘縮を正しく理解し、確実に改善へ導く一冊──『膝関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』を読んで感じた臨床の核心

「膝が硬い」と患者さんが訴えると、つい「ではROM-ex(関節可動域訓練)やストレッチをしましょう」と反射的に進めていませんか?私自身も新人の頃、膝関節拘縮と聞くと「伸びないなら伸ばす」「曲がらないなら曲げる」と、単調なROM練習に終始していました。ですが、なかなか改善しない現実に何度も直面しました。膝関節拘縮は単なる「動かない関節」ではありません。拘縮の背景には、関節包、靭帯、筋、皮膚、さらには疼痛や神経の影響まで複雑に絡み合っています。そのメカニズムを理解せずにリハビリを進めても、患者さんにとって効果的な介入にはなりにくいのです。そんな時に出会ったのが、『膝関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』。この一冊が、私の「膝をどう見るか」という視点を大きく変えてくれました。
医療書籍

病気がみえる vol.2 循環器を読んで臨床に活かす:リハビリ専門職が押さえておきたい循環器の本質

循環器疾患に対するリハビリテーションが広まってきました。脳卒中後や整形外科術後など、合併症として心疾患を抱えている患者さんも増えています。その中で、心疾患を一様に捉えてしまい、リスク管理が不十分なまま介入してしまうケースを見かけることがあります。しかし実際には、心不全、虚血性心疾患、不整脈、弁膜症など、それぞれで症状の出方もリスクも大きく異なります。「病気がみえる vol.2 循環器」は、こうしたリハビリ職が抱える“循環器の苦手意識”を解消し、理解に深みをもたらしてくれる一冊です。
リハビリ書籍

リハビリ現場で役立つ“動きの原理”を学ぶ1冊-『エッセンシャル・キネシオロジー(原書第4版)』レビュー

理学療法・作業療法の現場で、骨・筋・関節・神経がどのように連携して「動き」を生み出しているかを実感する場面は多々あります。しかし、臨床場面で「あれ、なぜこの動きがスムーズに出ないのだろう」「可動域は取れているけど筋力発揮がうまくいかない」「関節の安定性と運動性能のバランスが難しい」と感じることも少なくありません。こうした悩みを抱えるとき、運動学(キネシオロジー)の視点を改めて整理できる教科書的資料があると助かります。そこで本書『エッセンシャル・キネシオロジー(原書第4版)』に注目しました。臨床での「動きの異常」を理論的に理解し、「なぜ動かない/動きにくい」のかを裏付け付きで探る手がかりになるからです。今回は、この1冊がリハビリ専門職としてどのような知見を提供してくれるか、9段構成でじっくり解説します。
医療書籍

病気がみえる vol.1 消化器 ― 消化器疾患を“理解して動く”ための必読書

急性期分野のリハビリテーションにおいて、外科手術後に早期離床を進めるためのリハビリが当たり前になってきました。ですが、消化器疾患のリスク管理って、リハビリテーション職はあまり深く勉強してきませんでしたよね。また、合併症を持つことが当たり前になったこの時代。私自身、消化器疾患の合併症について、わからない時が多かったです。そんなときに出会ったのが『病気がみえる vol.1 消化器』でした。本書は、消化器の構造から疾患、検査、治療までをビジュアルに理解できる一冊で、リハビリ職にとっても“動く前に知っておくべきリスク”を整理できる心強い味方です。
リハビリ書籍

「なぜこの痛みが起きるのか?」を解剖で読み解く ― 工藤慎太郎『運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学 第2版』レビュー

臨床で筋骨格系の患者さんを担当していると、「なぜこの動きで痛みが出るのか?」「なぜこの触診位置で反応が違うのか?」と、解剖学的な“なぜ”に直面することが多いと思います。学生時代に学んだ解剖学は、骨や筋の名称を暗記するだけで終わってしまいがちですが、実際のリハビリ現場では“動きの中での構造理解”が求められます。そんな時に出会ったのが、工藤慎太郎先生による『運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学 第2版』です。徒手療法を臨床で使いこなしたい方、または解剖学を「使える知識」として再構築したい方にとって、まさに実践解剖学の決定版といえる一冊です。
リハビリ書籍

1日3分自触習慣!触診ドリル 下肢・体幹編 ― 「触る力」を鍛える最短ルート

臨床で患者さんの筋や骨、靱帯を正確に触り分けることは、リハビリの質を左右します。しかし、「触診に自信がない」「構造のイメージは頭にあるけど、指先で実感できない」という声は、理学療法士・作業療法士のあいだで今も多く聞かれます。そんな悩みに応えるように登場したのが、『1日3分自触習慣!触診ドリル 下肢・体幹編』ですタイトル通り、1日3分、自分の体を“教材”にして触診技術を磨くというまったく新しいアプローチ。触診を「暗記」ではなく「体得」に変える、理学療法士必携の一冊です。
リハビリ書籍

肩関節拘縮を「構造」から理解する ― 『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』で学ぶ臨床の再現性

肩関節のリハビリで、つい「とりあえずマッサージ」「とりあえず筋トレ」で対応していませんか?一見シンプルに見える肩関節拘縮も、その背後には複雑な関節構造・筋連鎖・神経制御が絡み合っています。本書『肩関節拘縮の評価と運動療法 改訂版』は、そんな“曖昧な肩の評価”を明確化し、臨床における思考の整理と再現性のあるアプローチを可能にしてくれる一冊です。リニューアルにより、全イラスト・写真を刷新し、さらに著者による実技映像59本をQRコードで視聴可能。紙と動画のハイブリッド学習で、動きを「目で見て学べる」構成になっています。
リハビリ書籍

「動作分析」は臨床の核になる――バイオメカニクスで“動作を変える力”を磨く一冊

「動作を分析する、そして動作を変える」これは、リハビリテーションが他の医療職と一線を画す専門性だと思います。整形外科の分野では、歩行の関節肢位や角度を話題にします。脳血管障害分野では「荷重」や「随意性」といった神経学的な視点から動作を分析します。生活期の現場では、動作を「環境」や「生活行為」と強く結びつけて語ることが多いでしょう。それぞれの分野で焦点が異なることは当然ですが、「動作」をバイオメカニクスとして説明できる理学療法士・作業療法士は、実はそう多くありません。臨床現場では、経験則や感覚的な言葉で動作を語る場面が少なくないのです。だからこそ、「動作がどのような成り立ちで行われているのか」を体系的に理解し、各分野の特徴と結びつけて考えることが重要です。本書『動作分析 臨床活用講座―バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践』は、まさにその基盤を整えるための一冊です。リハビリ専門職として“動作を科学する”力を磨きたい方にとって、欠かせない実践書と言えるでしょう。
リハビリ書籍

1日3分で変わる触診スキル!『自触習慣 触診ドリル 上肢・頚部編』で“わかる”から“触れる”セラピストへ

現場で働いていると、患者さんと話しているうちに、必ず解剖学の話になります。しかし実際には、「触り方がわからない」「そもそもどこを触っているのか不明」「この辺をマッサージしている」といった、あいまいな治療を目にすることが少なくありません。臨床現場では、「筋を理解しているつもり」でも、実際に自分の手でその構造を正確に触れられるかというと、ギャップが生まれがちです。そんなときに出会ったのが、浅野昭裕先生による『1日3分自触習慣!触診ドリル 上肢・頚部編』でした。「自分の身体を教材にする」という発想で、触診技術を“再学習”できる一冊です。
一般向け書籍

60代からの体が変わる!健康寿命を延ばす「からだのトリセツ」で始める人生最後のエクササイズ習慣

私の父は60歳を過ぎた頃から、なんとなく姿勢が丸まり、左右にフラフラと揺れるような歩き方になりました。脚の痛みや腰の痛みを日頃から口にするようになり、「健康寿命」という言葉が頭をよぎったことを覚えています。理学療法士として働く中でも、同じような変化を感じる方は少なくありません。筋力や柔軟性の低下だけでなく、「動くことへの自信の喪失」や「転倒への恐怖心」が重なり、活動量がさらに減っていくという悪循環に陥る方が多いのです。そうした現実の中で、「何歳からでも、自分のからだを整え直すことはできる」という希望を与えてくれるのが、園部俊晴先生の著書『60代から差がつく 健康長寿のための からだのトリセツ』です。