この本を手に取った理由
股関節痛の患者さんを担当していると、
「画像所見はあるが痛みの本当の原因が掴めない」
「可動域制限はあるが、どこにアプローチすべきか迷う」
と感じる場面は少なくありません。
特に変形性股関節症や術後症例では、評価と介入が分断されがちです。
そんな中で出会ったのが『赤羽根良和の臨床 股関節』です。
本書は単なる手技や評価方法の羅列ではなく、「なぜその痛みが起きているのか」を軸に臨床を再構築できる内容となっており、思考の整理に非常に役立つ一冊です。
書籍の基本情報
書名:赤羽根良和の臨床 股関節
著者:赤羽根良和
出版社:運動と医学の出版社
発行年:2026年4月6日
定価:9,000円+税
ISBN:9784904862834
判型:B5変型
頁数:約500頁
シリーズ名:赤羽根良和の臨床シリーズ
電子版:あり(医書.jpなどで配信)
書籍の概要と特徴
本書の最大の特徴は、「痛みの原因組織にフォーカスした臨床思考」を徹底的に学べる点にあります。
股関節痛を単なる疾患名で捉えるのではなく、Primary(主原因)とSecondary(二次的問題)に分けて考えることで、より具体的な介入戦略を導き出します。
さらに、I・C・Aという拘縮の概念を用いることで、「なぜ可動域が制限されているのか」「どこから優先的にアプローチすべきか」が明確になります。
評価と治療が一貫した流れとして理解できる構成になっているため、臨床経験の浅い療法士から中堅層まで幅広く活用できます。
目次と各章の内容
第1章 股関節痛の治療概念
股関節痛をどう捉えるかという根本的な視点を学ぶ章です。
PrimaryとSecondaryの考え方、拘縮と痛みの関係、I・C・Aの概念が整理されており、「評価の軸」を作る上で非常に重要な内容です。
臨床推論に自信が持てない方にとって、大きな指針となります。
第2章 診療の流れ
問診から画像評価、触診、動作分析に至るまで、実際の臨床の流れが体系的にまとめられています。
評価が断片的になりがちな方でも、「何から見て、どうつなげるか」が明確になる構成です。
第3章 可動域制限に対する評価と運動療法
股関節の可動域制限に対する具体的な評価方法と運動療法が解説されています。
ただ動かすのではなく、「制限の背景にある要因」を見極める視点が身につき、より効果的な介入へとつなげることができます。
第4章 疾患別の評価と運動療法
変形性股関節症(保存療法・THA後)、深殿部症候群、FAI、神経障害など、臨床で頻出する疾患ごとに評価と治療が整理されています。
疾患別に学びながらも、共通する評価軸を理解できる点が魅力です。
読んで得られること
本書を読むことで得られる最大の価値は、「股関節痛を構造的に理解できるようになること」です。
これまで感覚的に行っていた評価や治療が、明確な根拠を持って説明できるようになります。
また、評価から治療までの一貫した流れが身につくため、「評価して終わり」ではなく「その場で変化を出す臨床」へとステップアップできます。
結果として、患者への説明力や信頼性の向上にもつながります。
どんな人におすすめか
- 股関節の評価に苦手意識がある若手療法士
- 可動域制限と痛みの関係を深く理解したい方
- 疾患ベースではなく“原因ベース”で考えたい方
- THA術後や変形性股関節症のリハビリに自信を持ちたい方
特に、「評価はしているが治療につながらない」と感じている方には強くおすすめできる一冊です。
実際に読んだ感想・臨床での活かし方
実際に本書を読んで感じたのは、「視点が変わると臨床がここまで変わるのか」という点です。
これまで可動域制限=筋の問題と単純に捉えていた部分が、関節包や神経、さらには代償動作まで含めて立体的に見えるようになりました。
特にPrimaryとSecondaryの整理は臨床で非常に有用で、「どこに介入すべきか」が明確になります。
その結果、アプローチの精度が上がり、短時間でも変化を出しやすくなった実感があります。
また、I・C・Aの概念を使うことで、可動域制限の優先順位が整理され、「とりあえずストレッチ」から脱却できた点も大きな変化でした。
まとめ
『赤羽根良和の臨床 股関節』は、股関節痛に対する評価と運動療法を「思考レベル」から見直せる一冊です。
知識の習得にとどまらず、臨床での判断力を高めたい理学療法士・作業療法士にとって、非常に価値の高い内容となっています。
股関節に苦手意識がある方ほど、その理解が一気に深まるきっかけになるはずです。
日々の臨床を一段階引き上げたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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