こんな悩みありませんか?
変形性膝関節症の患者さんを担当したとき、
「とりあえず大腿四頭筋を鍛えよう」
「膝OAだから筋力低下が原因だろう」
そんな介入になってしまっていないでしょうか。
もちろん筋力強化は重要です。
しかし、もし患者さんから、
「先生、私の膝は何が痛いんですか?」
と聞かれたとき、自信を持って答えられるでしょうか。
実際の臨床では、
「痛みの原因組織は何か」
「なぜその組織にストレスが集中しているのか」
を説明できないまま治療を進めている場面も少なくありません。
そんなセラピストにぜひ読んでほしいのが『変形性膝関節症の保存療法』です。
書籍の基本情報
書籍名:変形性膝関節症の保存療法
著者:山田英司
出版社:運動と医学の出版社
発行年:2022年2月
ISBN:978-4904862506
判型:B5判
ページ数:192ページ
定価:5,280円(税込)
電子版:あり
本書は膝OA保存療法における病態理解・評価・運動療法を体系的に学べる専門書として高い評価を受けています。
書籍の概要と特徴
本書の最大の特徴は、「何を治療するのか」を徹底的に言語化している点です。
膝OAの本というと運動療法や評価法の紹介が中心になることが多いですが、本書はその前段階である、
「そもそも何が痛いのか」
という本質的な問いからスタートします。
実際に出版社紹介でも、
「痛みを発する7種の組織は?」
というテーマが強調されています。
つまり本書は、
痛み
↓
病態
↓
機能障害
↓
評価
↓
運動療法
という流れで理解できる構成になっています。
だからこそ、膝OA患者さんを前にしたときの臨床推論が大きく変わります。
目次と各章の内容
第1章 変形性膝関節症に対する保存療法の重要性
保存療法がなぜ重要なのかをエビデンスとともに整理しています。
膝OA患者の増加と理学療法士の役割について学べる導入章です。
第2章 変形性膝関節症とはどんな疾患か?改めて考えてみよう!
膝OAを単なる加齢変化として捉えるのではなく、病態学的な視点から整理しています。
誤った理解を修正できる内容です。
第3章 変形膝関節症は何が痛いのか?
本書の中でも特に重要な章です。
軟骨には神経が存在しないにもかかわらず、なぜ患者は痛みを感じるのか。
滑膜、脂肪体、靱帯、骨膜など、疼痛に関与する組織について詳しく解説されています。
「患者さんの痛みは何が痛いのか答えられますか?」
という問いに真正面から向き合う章です。
第4章 変形性膝関節症の臨床に必要な機能解剖学と運動学
膝関節だけでなく股関節や足部との関連も含めて解説されています。
機能解剖と運動学を臨床に結びつける視点が学べます。
第5章 変形性膝関節症の歩行の運動力学
膝OA患者特有の歩行戦略や異常運動について詳しく解説されています。
膨大なデータを基にした内容であり、本書の大きな見どころの一つです。
第6章 変形性膝関節症の外反モーメント
膝OA臨床で頻繁に登場するKAM(膝関節内転モーメント)について理解を深められる章です。
第7章 関節運動を改善させるための評価と運動療法
可動域制限や運動連鎖の問題に対する評価と介入方法が具体的に紹介されています。
第8章 荷重動作を改善させるための評価と運動療法
立ち上がりや歩行など実際の動作に対してどのように介入するかがまとめられています。
臨床応用しやすい内容です。
読んで得られること
- 膝OA疼痛の発生機序を説明できるようになる
- 痛みの原因組織を推測できるようになる
- 評価と治療をつなげる臨床推論が身につく
- 歩行分析の視点が深まる
- 運動療法の選択根拠を持てるようになる
- 患者説明の質が向上する
どんな人におすすめか
- 整形外科領域の理学療法士
- 回復期病棟のセラピスト
- 膝OA患者を多く担当する方
- 臨床推論を強化したい新人PT・OT
- 評価と運動療法がつながらないと感じている方
- 「何を治療しているのか」を明確にしたい方
実際に読んだ感想・臨床での活かし方
本書を読んで最も印象に残ったのは、
「その患者さんの痛みは何が痛いのか?」
という問いでした。
私たちは普段、
「膝OAだから痛い」
と表現してしまいます。
しかし実際には、
滑膜なのか
脂肪体なのか
骨なのか
靱帯なのか
それとも力学的ストレスの結果なのか
を考えなければなりません。
患者さんに
「先生、私の膝は何が悪いんですか?」
と聞かれたとき、
「軟骨がすり減っています」
だけで終わるのか、
「この組織にストレスが集中していて、その背景にこの運動学的問題があります」
まで説明できるのか。
その違いは非常に大きいと思います。
本書は単なる治療技術の本ではありません。
評価の本質を学び、患者さんを深く理解するための本だと感じました。
まとめ
『変形性膝関節症の保存療法』は、膝OA患者の痛みを本当に理解したいセラピストにおすすめの一冊です。
特に、
「その患者さんの痛みは何が痛いのか答えられますか?」
という問いにドキッとした方にはぜひ読んでほしい内容です。
運動療法の方法論だけでなく、痛みの発生機序、機能障害、歩行分析、臨床推論まで体系的に学べるため、膝OA臨床の質を大きく高めてくれるでしょう。
膝OA患者への介入に自信を持ちたい理学療法士・作業療法士にとって、本書は非常に価値の高い一冊です。

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